【感想】無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記/山本文緒

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こんにちは!
今回は山本文緒さんの
「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」
ご紹介します。

こんな人におすすめ!
・山本文緒先生の最後の言葉を読みたい方
・人生について考えたい方
・命は有限であることを思い出したい方

目次

あらすじ

これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、
夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、
コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。
58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。

引用元:新潮社公式ホームページ
https://www.shinchosha.co.jp/book/308013/

作品情報
タイトル:無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記
著者:山本文緒
出版:新潮社
ジャンル:エッセイ

いまを生きてることが
とんでもない奇跡だと思い知らされる。
ありがとう、文緒先生。

それでは感想を書いていきます!

読んだきっかけ

今回はインスタグラムで見かけたこの表紙があまりにも好みで
どなたが書いたのだろうと調べると山本文緒先生の本でした。

twitterで訃報を聞きとても驚いたことを思い出し
先生の言葉を読みたいと思い手に取りました。
恥ずかしながら他作品は未読でして…
積読に仲間入りしました^^

今回読んだエッセイは病気の告知を受けたあとからの日記です。

余命

2021年、新型コロナウィルスという未知なるウィルスに遭遇したこの年の4月
膵臓がんと診断され既にステージ4bまで進んでいました。
初めは少しの体調不良だと思い病院に駆けつけ薬を飲むも
一向に快方せず症状は悪くなるばかり。

様々な検査を行い、血液検査の結果により発覚したがん。
毎年人間ドックを受け、お酒もタバコもやめていたのに。
そして突然の病気の発覚に加えて余命は4ヶ月。
あまりにも急すぎる命の期限にご主人とふたりで途方に暮れたと記されています。

既に進行しているがんで手術も放射線治療も困難であるため
抗がん剤治療を選択しますが
あまりの過酷さに1週間で切り上げ緩和ケアへと移りました。

途中、救急搬送され入院をすることもありますが
基本的には自宅でご主人と過ごせていたようでした。

告げられた余命より長く生きた先生は
亡くなる前まで書き続けてくださいました。
是非その言葉たちを読んでいただきたいです。

印象深い言葉

5月27日(水)
昨日クリニックで自分の感情を口に出して話したせいか、そのあと感情が溢れ出してしまった。
“できればもう一度、自分の本が出版されるのが見たい”
そう思ったら止まらなくなった。

6月2日(水)
夜中に手洗いに起きると、夫がリビングでいびきをかいて居眠りをしていたので
起こそうとしたが、少し考えてそのままにした。
この人がいま「もうすぐ妻が死ぬこと」から解放されるのは
寝ているときだけだと思ったからだ。
夫が可哀想でつらい。なんとかしてあげたいけれど何もできない。

7月28日(水)
ステロイド……(中略)
今朝から少量飲み始めたら、体がいきなり軽くなってびっくり。
5分も座っていられなかったのに、今日は洗濯物もたためたし、
花を活けたりもできた。本も読めるし、日記も書ける。
それより何より、夫のほっとした顔を見られてよかった。

8月2日(月)
ただ私はがん宣告を受け、それがもう完治不能と聞いた瞬間に
「逃げなくちゃ!あらゆる苦しみから逃げなくちゃ!」と正直思った。
これが私の緩和ケアなのかもしれない。
しかし、こう思ったのと同時にあらゆる苦しみから逃げるのは不可能である、
ということも分かっていたように思う。
(中略)
逃げても逃げても、やがて追いつかれることは知ってはいるけれど
自分から病の中に入っていこうとは決して思わない。

9月11日(土)
振り返ってみると、この日記を書くことで
頭の中が暇にならずに済んで良かったと思ってはいる。
何も書いてなかったら、ただ「病と私」のふたりきりだったと思う。
長年小説を書いてきてもういい加減「書かなくちゃ」という強迫観念から
解き放たれたいと感じるかと思ったら、やはり終わりを目前にしても
「書きたい」という気持ちが残っていて、それに助けられるとは思っていなかった。

まとめ

ご紹介したような思いが綴られている日もあれば
体調のことだけやちょっとした冗談などを綴られている日もありました。
闘病中とは思えないほど読みやすい文章でした。

つらかっただろうな
苦しかっただろうなと思う場面はどうしても多く
どうして病気は生きているものを痛めつけるんだろうかと考えます。

日記の中で何度も「ありがとう」と伝えられていました。
きっと本音はもっとあっただろうけど
最後まで人を思いやる気持ちを無くさなかった先生。
病気に負けてない証だと感じました。

宣告されていないだけで
私たちは常に期限付きで生きています。
そのことを忘れず大切に過ごすこと。
たまに怠けたとしてもそれさえも思い出になること。
やらずの後悔は残さないこと。
そんなことを密かに決めました。

先生、この日記を書いてくれてありがとうございました。
書くことをやめずにいてくれてありがとうございました。
そして出版してくださった新潮社の皆様、各関係者の皆様も
ありがとうございました。

たくさんの人に読まれることを願っています。
そして山本文緒先生のご冥福をお祈り申し上げます。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

totoha
こんにちは!
本と文房具が大好きなtotohaです!
このブログは私の好きなもの・ことについて書いている雑記ブログになります。
文章の書き方、デザインについても勉強中です!
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